
暦の上では春を迎えましたが、お茶の里・静岡ではまだまだ厳しい寒さが続いています。 しかし、私たち佐藤園の工場内では、すでに新茶に向けた熱い戦いが始まっています。
「今年の新茶はどうなりますか?」
毎年恒例のこの質問を、佐藤園の味を守る二人の工場長にぶつけてみました。 返ってきたのは、例年通りの「美味しいですよ」という言葉ではなく、職人としての凄みを感じる「覚悟」の言葉でした。
今年のお茶にかける、二人の「決意表明」をご覧ください。
■「良い葉」は待つものではない。自ら獲りに行く。

【荒茶製造責任者:佐藤工場長】
まず話を伺ったのは、畑の管理から生葉を蒸して揉む「荒茶(あらちゃ)」工程を担う、佐藤工場長です。佐藤工場長は日本に44人しかいない「日本茶鑑定士」でもあり、佐藤園ブログの監修も担っています。
―― 今年の気候とお茶の出来栄えについて教えてください。
「ニュースで報じられるほどの寒波が続きましたが、実はお茶の樹にとっては良いことなんです。寒さが厳しいほど樹は深く休眠し、春に向けて養分をたっぷりと根に蓄えます。 さらに今年は、肥料をより高品質な有機質配合のものへ改良しました。この『寒さ』と『土へのこだわり』が、例年以上に凝縮された甘みとコクを生み出しています」
―― 今年の製造でこだわっている点は?
「茶葉だけでなく、製茶技術や立地など、すべての条件が整わないと、佐藤園の『芯蒸し茶』は完成しません。 茶葉の持つ鮮やかな深緑色と濃厚な香りを引き出すには、葉の芯まで蒸し上げる技術も必要ですが、なによりも『適期の柔らかい芽(みる芽)』であることが絶対条件です。
だからこそ今年はより、『良い葉が届くのを待つ』のではなく、『私が畑へ行き、最高の瞬間を自ら判断する』という姿勢を貫きます」
―― かなり強い覚悟を感じますね。
「適期を逃せば、どんな高い製茶技術も無意味になりますから。 日々の天気を常に気にかけ、最適なタイミングで摘採を行います。『失敗したら天候のせい』という言い訳は一切しません。 最初の『摘採』という工程から私が責任を持って管理する。その覚悟で、最高のお茶を仕上げ工場へ送り出します」
■「伝統」×「革新」。火入れで起こす化学反応。

【仕上げ製造責任者:望月工場長】
佐藤工場長が作り上げた荒茶を受け取り、ブレンド・仕上げ・火入れ(焙煎)を行い、最終的な佐藤園の味に仕上げるのが望月工場長です。
―― 佐藤工場長から熱いバトンが渡されますが、仕上げ工場の抱負は?
「今年、佐藤園には新しい風が吹いています。新たに加わったベテラン茶師が持つ、独自の経験と視点です。 『伝統を守るだけでは、進化はない』。彼がもたらす新しい知見は、私たちにこれまでになかった『新しい選択肢』を与えてくれます」
―― 味が大きく変わるということでしょうか?
「いいえ、ただ変えるのではありません。 『新しい素材のポテンシャルを、私の火入れ技術で進化させる』ということです。
佐藤園が長年培ってきた技術とノウハウ。そこに新しい風を掛け合わせることで、単なる足し算ではない、劇的な『化学反応』を私の手で引き出します」
―― 自信のほどをお聞かせください。
「従来の佐藤園らしい『ほっとする味わい』は残しつつ、香りの立ち方、余韻の甘み、すべてにおいて製品レベルを一段も二段も上げてみせます。 今年の佐藤園のお茶は、間違いなく進化しています。私たちが自信を持ってお届けする『至福の一杯』を、ぜひ楽しみにしていてください」
■ 編集後記
「失敗したら自分の責任」と言い切る佐藤工場長。 「レベルを一段も二段も上げる」と断言する望月工場長。
二人の言葉からは、今年の新茶に対する並々ならぬ自信が感じられました。
畑(農業部門)から工場(製造部門)まで、一切の妥協なく繋がれる今年のバトン。その結果生まれるお茶が、美味しくないはずがありません。

一番茶の収穫まであと少し。 職人たちの覚悟が詰まった、今年最高の一杯を、どうぞ期待してお待ちください。
